SDGs

飲食店にSDGsはコストだけではない!今取り組むべき理由とは?

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著者プロフィール:飲食店専門の補助金アドバイザー。

金融機関に20年間勤め、主に飲食店の補助金獲得に貢献。
通算1000人以上の飲食店オーナーと関わることで業界の全ての悩みを熟知。
その知識をwebで発信。経営難で困っている飲食店を少しでも多く助けるために活動中。

 

最近、夕方のニュースなどに、ちょくちょくSDGsというワードを見かけるようになりました。

新聞だけでは、読み方すら知らなかったワードですが、なんと今や政府や自治体だけでなく企業の広告などでも取り上げています。

皆さんはこのSDGsとは一体どんな内容のものなのか知っていますか。

ちなみに読み方は「エスディージーズ」です。

 

聞いたことはあるけどその内容までは知らないという方や、なんとなく知っているけどそれって意識高い系の人がやっている事でしょと思っている方

他人事だと思っていたら要注意かもしれません。

 

SDGsは、近い将来自分たちの生活にも関わってくる内容なのです。

飲食店ビジネスや経営という観点から見ても、今から取り組んでいくことを考えなければ、これから先には取り残されてしまうかもしれません。

今回は、そのSDGsに取り組んでいくべき理由と、飲食店が取り組めることについて挙げてみたいと思います。

 

SDGsとは?

SDGsは(Sustainable Development Goals)の略称で、直訳すると「持続可能な開発目標」です。

これだけでは何のことかさっぱりですよね。

SDGsは、2015年の国連総会で決められた世界全体に対しての問題解決のための目標です。

「今」だけでなく「未来」でも、世界中の全員がより良い暮らしができるように、社会・環境・経済の様々な観点で2030年までのゴールを掲げています。

出典:国際連合広報センター

1:貧困をなくそう

2:飢餓をゼロに

3:すべての人に健康と福祉を

4:質の高い教育をみんなに

5:ジェンダー平等を実現しよう

6:安全な水とトイレを世界中に

7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに

8:働きがいも経済成長も

9:産業と技術革新の基盤をつくろう

10:人や国の不平等をなくそう

11:住み続けられるまちづくりを

12:つくる責任つかう責任

13:気候変動に具体的な対策を

14:海の豊かさを守ろう

15:陸の豊かさも守ろう

16:平和と公正をすべての人に

17:パートナーシップで目標を達成しよう

上記の通り、ゴールは全部で17個。

SDGはこのゴールと、その下のより具体的な達成目標として169のターゲットで構成されています。

一つだけを解決しても世界全体の問題は解決はされません。

17のゴールの一つ一つが絡み合っており、より大きな目線で取り組むことで未来世代の社会や環境を守れると考えています。

SDGsへの意識と関心

消費者のSDGsに対しての意識は?

ニュースなどでも取り上げられているSDGsですが、実際どれくらいの人々がSDGsについて知っているのでしょうか。

 

出典:電通 第4回「SDGsに関する生活者調査」

 

上記は、電通が2021年1月に実施した生活者調査「SDGsに関する生活者調査」のアンケート結果です。

10代~70代までの男女100人ずつを集めたデータで計1400人の中、SDGsに対しての認知度は半数を少し上回る54.2%。

第3回は2020年1月1日実施で、1年で約2倍と認知度があがっています。

コロナ禍を経て環境問題や社会問題への関心が高まっているのでしょう。

また同データによると比較的若い世代ほど認知度が高く、学校の教育などにも取り入れられ今後の世代に浸透していることもわかります。

約半数の方々がSDGsに対し、大なり小なり知っていることが分かりました。

では、SDGsに対して印象はどうでしょうか。

下記のグラフは、電通の生活者調査で、「SDGs活動を知るとその企業のイメージが良くなる」と答えた人の性年代別の割合です。

出典:電通 第4回「SDGsに関する生活者調査」

全体でみるとその割合は74.9%

7割を超える人がSDGsへの取り組みに関して好印象を抱いていることが分かります。

教育や様々なメディアでも取り上げれられ、消費者の中での意識と関心が高まっているのですね。

 

企業のSDGSに対する意識は?

かなり認識されてきたSDGSですが、具体的にはどれくらいの会社が取り組みを始めているのでしょうか。

帝国データバンク2021年6月の調査によると、SDGsに既に取り組んでいる会社や、取り組みたいと思っている会社の割合は、約11,000社中39.7%と1年前のデータと比べると約1.5倍増えているそうです。

また大企業だけを見れば約半数を超える会社が取り組みを考えています。

 

現状では、まだ少ないとみる方もいると思いますが、すでに株価の取引のなかでも「SDGSへの取り組み」という指標もできています。

また現在、環境に配慮して脱炭素が進んでいるのと同じで、いずれ飲食業界にもSDGS関連の規制ができてくる可能性もありますよね。

大企業はもちろんですが、中小企業や個人経営のお店まで、今から意識を持ち始めなければ取り残されていってしまうかもしれません。

 

SDGSに取り組むメリットとは

SDGSに対する消費者の意識と会社や企業の意識に対して見てきましたが、実際には「取り組みたくない」と考える人は少ないと思います。

「取り組めたらいいけども、そこまで余裕がない。」というのが経営者の本音ではないでしょうか。

ここで重要なポイントは、SDGSの取り組みは、コストや経営にとってのデメリットだけではないということです。

SDGsへの取り組みのメリットを見てみましょう。

むしろコスト削減や集客などにつながるチャンスかもしれません。

 

1)SDGsを取り組むメリット「ブランディング」

ブランディングとは、簡単にいうと自店のブランドを形作ることをいいます。

つまり、他店にはない個性や価値を持ち、お客様に愛着を持ってもらうこと。または信頼してもらうことです。

ブランディングに取り組むことで他の店との差別化をはかり、大きくは売り上げUPや末長く経営にもつなげることができます。

 

ブランディングしていくための方法として、これまで独自のメニューや立地の確保、宣伝の仕方の工夫など様々挙げられてきました。

しかし、最近は加えて「社会性」というのも注目されるようになりました。

先述の、SDGs取り組み企業への好感度の調査でも分かるように、消費者が物を選ぶ価値観の中に、その会社の「社会への貢献性」というのも入ってきているのでしょう。

今からSDGsへの取り組みを始めることで、イメージや信頼性の向上、又は他店との差別化を狙うことができます。

また、SDGsに関心を持つ層に対してのアピールにもなりますから新しいターゲットの開拓にもなるでしょう。

もしこれが5年後、10年後であれば取り組んでいることは当たり前になっているかもしれませんから、そのときに個性を発揮するのは難しくなります。

まだ先駆けと言える今でこそ、個性的な魅力して映るともいえますね。

 

2)SDGsを取り組むメリット「コスト削減」

畑の横で廃棄されたブロッコリーの写真

SDGsの中の、「12:つくる責任つかう責任」におけるターゲットには世界の食料廃棄の半減や食品ロスの減少などがターゲットとして掲げられています。

食品ロスや、フードロスという言葉は飲食店には馴染みのある言葉ですね。

 

食品ロスをなくす取組みには、売れ残りを安く買い取ってもらえるように始まったフードシェアリングサービスや、食べ残しを持ち帰ることができるようなサービスの提供などがあります。

その中でも、コスト削減の観点でおすすめなのは、売れ残りができないように仕入れ・調理を行う「量管理」

衛生面から考えても売れ残りというのはコストに直結するものですから、売り切れる量にする為、仕込みの量や製造する量を調整することは経営面からみてもプラスになるはずです。

 

「量管理」に関してはPOSレジなどを使っていれば常に売れている量などをデータ化してくれますから、正確に管理することができます。

全ての商品を閉店まで残そうとせず、売り切れてしまった商品に関しては売り切れの札を掲げてしまうのも一つの手。

SDGsへの取り組みの為という理由は理解も得やすいでしょう。

日本人にとっては昔から「ご飯を残すのはもったいない」という意識もありますから、お客様にとっても働く従業員にとってもフードロスの削減は共感し、取り組みやすいですよね。

SDGsへの取り組みをすることで、自ずと無駄を減らすこともできるのではないでしょうか。

 

SDGsはコストだけではない!

SDGsに対する関心の高まりや、取り組み、メリットについてをまとめてみましょう。

 

・SDGsへの関心や意識は高まってきている。

・取組みを始めている企業・始めようとする企業が急激に増えてきている。

・人々のSDGsや社会貢献への意識の高まりからブランディング効果が見込める。

・SDGsの観点から取り組むことで無駄を減らすことができる。

 

さらに、いちばん重要なこととして、

 

いちごいちえ
SDGsには「需要がある」ということです。

 

例えば社会貢献といってもそれが利益につながるものでなければただのコストになってしまいますが、SDGsは新しいマーケットチャンスだとも言われています。

SDGsは、金融機関も取り組みを始めています。

人々の価値観の中に「環境に優しくいきたい。」「なにかい良いことをしたい。」そういう意識があるならばそれは十分ニーズになりえます。

現在、東日本大震災やコロナ禍を超えてそういった気持ちが芽生えやすくなっているように思います。

顧客が求めているものを上手く提供できる経営こそが長く愛されていく秘訣ではないでしょうか。

 

まとめ

消費者や企業の意識から、経営していくにおいてのSDGsの今後の重要性をみてきました。

コロナもそうですが、今年も温暖化や豪雨など様々な異常気象で今、環境問題の深刻性や社会の問題を身近に感じることが多くなってきています。

 

若い世代の教育にも取り入れられている事を見ても、SDGsへの取り組みは流行りやブームなどと違い今後も長く取り上げられていくように思います。

もちろん、最後に上げたフードロスの取り組みのようなコスト削減につながるものだけでなく、トレーサビリティ(原材料の調達から廃棄まで追跡可能な状態にすること)が明確な商品の使用やプラごみの削減など費用が掛かっていくものもあります。

それを付加価値としても上手くお店に生かしていきたいですよね。

 

様々なメディアが取り上げ、世界的にも取り組みが進む今、あなたのお店の顧客の価値観の中にも、SDGsへの意識はこれからますますと高まっていくでしょう。

特に、まだ具体的な取組を始めているお店は少数派。

今取り組んでこそ、他のお店にはない独自の価値を提供できます。

表面的な取組だけでなく、内容と重要性をしっかりと理解した上でSDGs需要を取りこぼさないように賢く取り組んでいきましょう。

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