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著者プロフィール:飲食店専門の補助金アドバイザー。
金融機関に20年間勤め、主に飲食店の補助金獲得に貢献。
通算1000人以上の飲食店オーナーと関わることで業界の全ての悩みを熟知。
その知識をwebで発信。経営難で困っている飲食店を少しでも多く助けるために活動中。
簡易課税って皆さんは聞いたことがあるでしょうか。そう、毎年収める消費税の課税方法です。
税金なんて聞いただけでも気が遠くなる。難しいから全部任せてる。
そういったイメージを持つ方も少なくないと思います。
ですが、コロナ禍で様々な制限がかかる今こそ、抑えることができる少しのコストでも抑えておきたいところですよね。
外食が自粛傾向にあったり営業時間の短縮などを要請されたりする中で、テイクアウトや宅配など新しい事業に挑戦しているお店も多いはずです。
テイクアウトは始めたけれど、税金の申請についてはなにもしていなかった。
そんな経営者の方に向けて、簡易課税を活用することで節税が可能かもしれません。
ここではそんな簡易課税のしくみや特徴を見ていきたいと思います。
飲食店の簡易課税とは?
目次
そもそも消費税ってどんな仕組み?
消費税とは、
お客様から預かった消費税(売上の消費税)ー経費に支払った消費税(仕入れ代などの消費税)
上記の差額分を納めるしくみになっています。
最近は軽減税率で食料品かその他で税率が違いますのでその内容に応じて計算します。
【売り上げの消費税】
サービス内容 | 顧客が払う消費税 |
店内飲食 | 10% |
ケータリング | |
テイクアウト | 8% |
デリバリー |
【仕入れの中の消費税】
消費したもの | 支払った消費税 |
食料品 | 8% |
消耗品やその他 | 10% |
消費税の計算方法は「原則課税」と「簡易課税」の2つ
消費税の税率は決まっていますが、納める消費税の計算方法は「原則課税」と「簡易課税」の2つがあります。
原則課税とは
原則課税とは、売り上げ分と仕入れなどの経費分、それぞれのレシートをその通り記入して計算する方法です。
飲食店は特に食料品とその他が混ざっていますからから、軽減税率を加味して計算しなければならず、手間がかかってしまうのがこの原則課税の方法です。
今は計算用のアプリなども出ていますが、レシートの入力は自分で行わないといけないですから自力では少し大変かもしれませんね。
簡易課税とは
簡易課税は、売り上げに対しての「みなし仕入れ率」を決め、何%分を消費税として納めるのかを統一してしまう計算方法です。
例えば、通常の店内飲食の場合「みなし仕入れ率」は60%と決められていますので、消費税として納めるのは「売り上げの40%」となります。
具体例
店内飲食の売り上げが1000万の場合
お客様が払う消費税は外食で10%なので
1000万円×10%=100万円
お客様から預かった消費税100万円の内、納める分が40%ですから
100万円×40%=40万円
仕入れに実際はいくらかかったのかは関係なく、納める消費税は40万円となるわけですね。
場合によって、原則課税で計算したほうが納める消費税が抑えられるケースもあるのですが、一つ一つの計算をせずに済むので非常に簡単で手間がかからないのがメリットです。
簡易課税の活用方法とは
テイクアウトの消費税は安くなる?簡易課税の仕入れ率とは
最近コロナ禍に対応する為、テイクアウトや宅配を導入するお店が増えてきていますが、その場合の消費税は変わらないのでしょうか。
テイクアウトの場合は、外食ではないのでお客様から受け取る消費税は8%になります。
ですがそれ以外に、「みなし仕入れ率」がテイクアウトや宅配では数値が変わってくるのが簡易課税の特徴です。
分かりやすいようにまとめてみましょう。
店内の飲食スペース | サービス内容 | 業種 | みなし仕入れ率 | 納める消費税 | 顧客が払う消費税 |
あり | 店内飲食 | 第4種 | 60% | 40% | 10% |
ケータリング | |||||
デリバリー | 8% | ||||
テイクアウト | 第3種 | 70% | 30% | ||
なし | デリバリー | ||||
テイクアウト |
販売形式によって業種区分が異なり「みなし仕入れ率」が変わるというしくみです。少しややこしく見えますね。
ですが自分のお店の形態に当てはめてみると意外と簡単です。
大きくは店内の飲食スペースの有無で分かれています。
飲食スぺースがないお店は、「キッチンカー」ケーキ屋やパン屋のような「テイクアウト専門店」またはピザや寿司の「出前」や「デリバリー」といったところです。
こういったお店ではデリバリーもテイクアウトも「みなし仕入れ率」は同じ。
飲食スペースがあるお店ではテイクアウト、つまり、持ち帰りのみが仕入れ率が異なるということですね。
表の赤字で書いている通り、仕入れ率が高いほど納めるべき消費税の額は安くなります。
これまで簡易課税を使用してきたお店でも、中には店内飲食・デリバリー・テイクアウト全て変わらない「みなし仕入れ率」で行っているところもあるかもしれません。
もちろん、分ける余裕がなければ一律60%の「みなし仕入れ率」を用いても問題はありません。
ですがテイクアウトを分けることによって、納める額は変わってきます。
具体例で見てみましょう。
店内飲食の売上が1000万円,テイクアウトの売り上げが500万円,合計1500万円の売り上げの場合
【全ての売り上げの「みなし仕入れ率」を一律60%で計算する場合】
1000万×10%×40%(店内飲食売り上げ×消費税×納める消費税率)=40万円
500万×8%×40%(テイクアウト売り上げ×消費税×納める消費税率)=16万
合計56万円
【テイクアウトの「みなし仕入れ率」を分けて計算する場合】
1000万×10%×40%(店内飲食売り上げ×消費税×納める消費税率)=40万円
500万×8%×30%(テイクアウト売り上げ×消費税×納める消費税率)=12万円
合計52万円
上記の例で言うと、分けて計算するだけで納める消費税は4万円安くなるんですね。
レジなどを使用していれば、店内飲食・デリバリー・テイクアウトの中のどの売り上げなのか分けることも可能だと思います。
余裕があれば是非分けて計算することをお勧めします。
簡易課税を導入するための3つの条件とは?
簡易課税のメリットや特徴などについてみてきました。では実際導入するにはどんなお店でもできるのでしょうか。
簡易課税には大きく分けて3つの条件があります。
1)簡易課税制度を導入しようとする年度の前日までに届ける。(年度の途中で変更することはできない。)
2)一度導入すると2年は継続しなければならない。
3)売上が5000万円以内の飲食店のみ対象。
です。
残念ながら、今日から変更というのはできませんが、厳しい条件ではないので希望すれば多くの飲食店が変更可能かと思います。
ちなみに簡易課税制度をやめて原則課税に戻すときも、年度の途中で変更することはできません。
消費税の計算を簡単にしたいと思った方は、税務署で手続きが可能なので是非行ってみて下さい。
また、今の課税方法がどちらなのかわからないという方は消費税の申告書の右上を一度確認してみましょう。
「簡」という記載があれば簡易課税が適用されているはずです。
飲食店の簡易課税のまとめ
簡易課税の特徴やメリット、活用方法を見てきました。
ポイントとしては、まず簡易課税は原則課税に比べて消費税計算が簡単という点。
そして、テイクアウトサービスについては「みなし仕入れ率」を分けることで納める消費税が節税ができる点です。
毎年手間がかかって大変だったという方、そして「みなし仕入れ率」なんて知らなかったという方,
まずはお手元の今年の申告書で現在の課税方法がどうなっているかを確認し、来年度から是非活用してみて下さい。
税金、というだけで難しいイメージも多くそのままにしまうことも多いかと思います。ですが,知ってみると意外と簡単なところもあったのではないでしょうか。
制度を上手く活用して、簡単に賢く節税しましょう。
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著者プロフィール:飲食店専門の補助金アドバイザー。
金融機関に20年間勤め、主に飲食店の補助金獲得に貢献。
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